爆発的ブーム火付け役の中国

2018年3月現在「旅かえる」は日本語版のみ。BBCによれば、 中国の人たちはWechatやWeiboに投稿された日本語訳動画や記事を参考にしながら日本語を理解しゲームを楽しんでいる。

ゲームのヘビーユーザーである若い女性たちは旅に出かけてしばらく帰ってこなく、気まぐれに写真を送りつけてくる! 仕草を我が子のような気持ちで見守っているという。また、つらい仕事の一時のリラックスとしても活用しているユーザーも少なくない。

旅かえるは2017年12月にリリースするやいなや中国の若い女性を中心に爆発的なヒットとなった。このヒットの下支えとなったのが日本でいうLINE、TwitterにあたるWechat(微信)やWeibo(微博)である。

具体的に、旅カエルの国別のApp Storeのランキング推移の比較をすると、日本では盛り上がりに欠ける一方、中国ではリリース直後から人気が爆発し12月に1位を獲得している。それを受けて中華圏を中心に急速にApp Storeの上位に食い込み始めた。逆に日本では中国を中心として東アジアの人気の余波を受けジワリジワリと認知度を拡大した。

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筆者自身このゲームの情報は中国からの逆輸入で仕入れた。Twitterでフォローしている中国情報を多く発信しているユーザーやWechat、WeiboといったSNSを賑わいをチェックしていて興味をもった。

普段からスマホゲームはほとんどやること無い筆者であるが、2ヶ月ほどカエルを旅に送り出してみた。特段スマホゲームに熱中するタイプでは無いので、プレイ初期は半ば義務的、実験的に三つ葉を集め、食べ物や道具を集め旅の準備をした。

しかし、今では昼と寝る前にカエルの様子を確認するのが日課になっている。時には数日帰ってこない時はいつ帰ってくるのかと待ちわびる気持ちも芽生え始めている。また、一人ぼっちの写真でなく、蝶や蟹等と一緒に写っている写真をもらった時は確かに嬉しい気持ちになる。

情報空間からリアル空間へ繋がるUXの要素

現在カエルが旅に行く場所は日本国内のいわゆる大都市以外の場所だ。

訪日外国人が日本に来た場合にまず訪れるとされる東京、箱根、富士山、京都、大阪といったゴールデンルートは旅かえるの旅先には含まれておらず、奥入瀬、伊勢神宮、天橋立、出雲大社など地方に焦点をあてた設計がなされている。

しかも、カエルが送ってくる写真には特に観光地名が記載されているわけではない。出雲大社など日本人でも一目で分かりやすいアイコニックな要素があれば分かるが、外国人にはわからないものも少なくないだろう。

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カエルがどこへ遊びに行ったのか懇切丁寧に説明をしてあげれば、ユーザーはストレスも調べる手間もなくサービスを利用できる。

しかし、旅カエルはその真逆を進んでいる。カエルがどこに行ったかよりも、「どんな仲間」と遊んでいるのかを気にさせるように設計されており、一体どこに遊びに行ったかは一切明記がない。そこは旅カエルをプレイする上で優先事項としては下であるというメッセージでもあるのだろう。

ただ自分のカエルがどこに行ったのか気になり始めるほど深く興味を持つと、ファンは能動的に動き、言語を超えてカエルがどこへ遊びに行ったのかを調べ、それをSNS上で共有し分かち合う。

あえてUXを少し悪くすることが、ユーザーの行動を誘発する仕掛けとなっているとも捉えることができるのだ。情報は簡単に調べられ、同じ趣味を持つ同士で共有するのが当たり前な時代だからこそ、簡単に探させ無いことでファンの心をつかむ。

筆者自身、先日カエルが旅していた奥入瀬の苔橋を訪れた。そこには、旅カエルをに影響されたのかもしれない、場所と格好が不釣り合いなアジア系の若者が多く訪れていた。

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ゲームからリアルへ

もちろん、理由は旅かえるだけではない。

現在、奥入瀬には中国や台湾などからをはじめ、外国人観光客が押し寄せているという。 これは、前述のゴールデンルートに物足りなさを感じ始めた層が日本各地の地方を開拓し始めた事が影響している。そしてこの動きを後押しするのが「JR Rail way pass」という乗り放題のチケットだ。このチケットはJRの東、東海、西等問わず新幹線や特急、バス、船が乗り放題になる。

旅かえるでは、このチケットで楽しめる場所へとかえるが旅に出ている。

WeChatを覗いていると少しゲームのブームが過ぎてきたようにもみえる。一方、実際の奥入瀬へ旅行に行ってきた写真が掲載されている。情報空間を起点に実空間へシフトをし始めているのだ。