ワークショップに最適化されたオフィス

ヒューマンバリューは、人材開発や組織変革に関するコンサルティングや実践、研究開発を行っている。同社のオフィスは、単に業務を行うだけでなく、社員が組織変革や人材開発について、外部に向けてワークショップを行う場でもある。それを踏まえ、本プロジェクトでは、「ワークショップを行いやすい環境」「働きやすい環境」「発想の転換がしやすい環境」をキーワードに掲げた。

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設計の前には、社員の方々とワークショップを開催し、「自分達にとって最高の状態」について考えを深めた。

ワークショップはヒューマンバリューが主体となって実施、クライアントとtsukuruba studiosの双方が「共創」し、全員参加型のオフィスデザインを目指した。

オフィスデザインについて

エントランス、ラウンジスペース

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入り口を入ると、奥まで視線が抜けた開放的なラウンジスペースが来客を迎え入れる。ラウンジスペースは、来訪者に開放されており、打ち合せの前後で自由に利用できる。

壁面に設置されたライブラリはクライアントの「知」を表現している。木材の本棚と、向かい側の金属でできた可動間仕切(自由にレイアウトできる間仕切)との対比が、エントランスデザインのハイライトだ。  

フリースペース

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ラウンジスペースの奥に位置するフリースペースは、ランチや簡易ミーティングスペースとして利用できる。ラウンジスペースとフリースペースの床の貼り方を変え、より感覚的に別のスペースとして認識できるようにデザインした。

ワークショップルーム

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ワークショップルームは、壁をすべて可動間仕切とした。クライアントの業種やワークショップの目的に応じて、フレキシブルにレイアウトを変更できるよう設計。

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また、隣接するカジュアルなラウンジスペースとの対比を考え、ワークショップルーム内部はあえてトーンを落としたデザインにした。これにより、参加者の意識も切り替わりやすくなるはずだ。

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全員参加型のオフィスデザインのもつ可能性

通常なら、移転計画が固まった後に設計をスタートするが、本プロジェクトでは、設計の前にワークショップを開催した。設計前から対話を重ねていたため、クライアントが求める「最高な状態」を深いレベルでインプットしてから、設計に臨めた。

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tsukuruba studiosとクライアントの間で方向性が定まっていたため、設計途中の図面のやり取りやフィードバックの数も少なく、最短ルートでプロジェクトを進めることができた。

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また、クライアント自身が「どのような状態を実現したいか」を深く理解できているため、必要なモノやコトの取捨選択もスムーズだった。

コミュニケーションと設計プロセスの最適化により、通常の設計フローでは埋もれやすい細かな運用にも、十分な検討・計画の時間を設けられた。それらが最終的なアウトプットに対する満足度にもつながると感じた。

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オフィス設計の現場において、クライアントから求められるニーズは多様化している。CADなどのツールの進化だけではなく、「設計をどう進めていくか」といった、プロセスのデザインにも変革が求められている。

本プロジェクトを通して、クライアントと設計者との関係を再考し、新たなアーキテクト像の一例を提示できたのではないかと考えている。