大学進学で地元の広島県から離れてほぼ10年。ずっと東京にいながら気になっていた街がある。

それが「尾道」だ。

筆者の出身は、尾道の隣の福山。帰省する際にはよく尾道に遊びに行っていたものの、この街の深さを測りかねていた。落ち着いていているのに常に変化をしている不思議な街。

普段の業務を同じ環境で行う若干のマンネリを感じ始めたことをきっかけに、東京と尾道の2拠点ワークの可能性を模索してみたい衝動に駆られた。上長に5日間のリモートワークを打診してみたところ、無事快諾をもらった。

実際に行ってみて

尾道でのワークは、主にコワーキングスペース「ONOMICHI SHARE」にて。

広々とした空間が快適な上、大きな窓から瀬戸内海を見渡せる。穏やかな内海を視界に入れつつの作業をすると、なんだか心が落ち着く。

終業後には尾道ラーメンを。が、肝心のラーメンの写真を忘れるという痛恨のミス。

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左・「働く=遊ぶ」をコンセプトとしている[ONOMICHI SHARE](http://onomichi-share.com/)。尾道駅から徒歩13分、1日1,000円で利用可能。海を眺めながら作業ができる。/右・終業後に尾道ラーメンとともに味わったビール。

尾道はとにかくカフェが多い。昔からある純喫茶風カフェに、海沿いのシーサイドカフェ、木造で白壁の小さなカフェに、鉄骨組みで黒壁の2階建てカフェ。

つまりは作業する場所に事欠かない。現に筆者もコワーキングスペースの作業がひと段落したら、散歩も兼ねてカフェに移動するなどして、気分転換をしていた。そして、仕事をするのに必要なWi-Fiも大体の場所にあるので、不便することはなかった。

宿泊先はゲストハウス「あなごのねどこ」

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尾道空き家再生プロジェクトの再生物件のひとつ。旅と学校をテーマにしたレトロ喫茶兼交流スペースも兼ねている。奥行きの深い尾道町家と尾道の特産品のあなごを掛け合わせて、「あなごのねどこ」と名付けられたんだそう。

予想外の発見も

2拠点ワークを目的として尾道に足を運んだが、実際行ってみると新たな気づきがあった。それは、尾道に若い人の挑戦を受け入れる土壌があることだ。

北に山、南に緩やかな傾斜を描いている海を望める街ゆえ、坂道の街と呼ばれる尾道。そんな環境が織りなす風景は観光客に人気なのだが、そこで生活をするとなると話は変わってくる。

高齢者の方にとって、毎日坂を上り下りするのはなかなかの重労働。その結果、空き家がどんどん増えてしまった。そんな状況を打破すべく、2007年よりNPO法人の尾道空き家再生プロジェクトが発足。ゲストハウスの施工や移住者へのサポートを行なっている。

現在、そのような活動が実を結び、移住者が増えているそう。比較的安価で店舗を始められることや、古民家を改装したドミトリーが多いため、若い人たちが集まってくる傾向にあるようだ。宿泊中に若いスタッフの方、お店を持っている方、自身のプロジェクトを模索している最中の方と話をさせていただき、とても刺激をもらった。

新しい挑戦を迎える雰囲気がこの街の根底にあると感じた。

最後に

実際に尾道で働いてみて、リモートでのコミュニケーションがより円滑になるツールの導入の必要性や、子育ての負担が嫁に全てかかってしまう状況をどう解決するか(筆者には3歳の娘がいる)などの課題はあるものの、無理な働き方でないと感じた。

加えて、ゆったりしているのに刺激的なこの街で、挑戦をしたいと思えている自分を発見した。

東京と地方での2拠点ワークが気になっている方は、実際に足を運んでみてはいかがだろうか。それ以上の発見があるかもしれない。