なぜ大学で学ぶことにしたのか

私は、現在tsukuruba studiosでフロントエンドエンジニアとして働いている。独学でフロントエンドとサーバサイドなどのエンジニアリング技術を身につけた。

近年、第3次人工知能ブームやそのベースとなる機械学習やビックデータ、既存技術の融合で生まれたブロックチェーンなどのトレンドをフォローする必要性を感じ始め、独学で習得を試みた。しかし、数学や統計などの知識を要する点やそもそも集中的に学ぶ時間の捻出が難しい点がネックとなり、なかなか進まない。

そこで、通学での夜間主大学への進学を決意した。なぜあえて学ぶ場所として大学を選んだかと言うと、トレンドの技術を学ぶ目的だけであれば私設スクールでもよいが、流行に左右されない基礎力は学術的な側面から身につける必要があると考えたからだ。今回の大学進学はあえてフルタイムで働きながら夜間主コース(※1)で学ぶことにした。

※1 夜間主コースとは、1コマ90分の授業を平日5日間に1コマずつ5コマ、土曜日に4〜5コマで受講し、昼間コースと同様の授業を受けられるコースのこと

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通っている大学の教室

どうしてフルタイムでツクルバで働いているのか

学んだ技術を身につけるためには、大学で学んだ知識を企業での問題解決を活かすことが必要であると考えた。2016年4月から2年間はフリーランスエンジニアとして活動していたため、この活動に理解いただける企業を見つけなければならないと、複数の企業と掛け合った。

その中でも代表を含めたツクルバのメンバーは面談で一様に応援する立場を示してくださり、入社を決めた。実際に働き始めてからも応援していただけていることに、この場を借りて感謝申し上げたい。

大学に1年間通って気付いたこと

①強制力について

思考のスイッチを切り替えられる

強制的に仕事と大学でつかう頭の中身を切り替えなくてはならず、その結果、それぞれのやるべきことに集中することができるようになった。さらに、思考の相互作用を生むことができている。短期的に切り替えることで、集中的に取り組むべき問題に取り掛かりつつ、緩やかな思考ではつながっている。つまり、仕事と大学の刺激を行き来することで、複眼的に物事を捉えることができるようになった。

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大学での授業の様子

友人と教授の存在

大学では友人とともに学び合うことができる。そうすることで、理解を促進することができる上、友人たちが努力をしている様から自らも負けずに取り組もうと思える。教授は自らの学ぶ分野において、圧倒的に多くの経験を積んでいる。教授とのつながりや、日々相談や質問できる環境があることは、学ぶ上での安心感につながる。

②目線の変化について

知らなかったことを知ることができる

改めて高校の知識をインプットする機会に恵まれ、見える世界が変わった。私が通っているのは理系大学なので、数学・物理・化学の基礎から学んだ。化学については20年来まったく触れることがなかったため、完全にゼロからのスタート。高校化学を1から学習し、ベンゼン環の存在を理解してから芋づる式に必要な知識を習得した。特に化学実験にはとても苦労した。

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筆者の化学のノート

視野が広がる

物理や化学の基礎を改めて学んだことにより、今まで考えてこなかったことを意識するようになった。

例えば、消費財の商品ラベルからどのような構成要素で商品が作られているか、青色発光ダイオードがなぜ青色に発光するか、有機ELディスプレイがどのような構成で作られているかなど。

さらに、計算機科学の分野と物理や化学の知識を組み合わせたらどのようなことが実現できるかなど、単一分野のみでは得られない観点を模索するきっかけになった。

新たな知識を学ぶことは、その対象が明確であればあるほど自らの世界が広がり、とても刺激的かつ楽しいことであると感じた。このアハ体験は、新たなことを学ぶ上での一つの原動力になると思う。

反省点

これから通う人に伝えたい、社会人大学生としての心掛け(のようなもの)を3点書きたいと思う。

①自分で目標を定める

社会人学生として学ぶ際は、一般の大学生よりも何を、どの深さまで学び、大学の4年間でどこまで到達すべきかを明確にする必要があると痛感した。入学時点で学ぶべき対象が明確ではなかったため、目標に対する学びではなく、学習のための学習になりがちであった。

自分の場合、学ぶことでより目標の解像度が上がっているため、現在はより具体的になってきている。その結果、学びの質が向上していることが感じられる。

②取り組む対象の取捨選択

授業によって、能動的に関わる度合いが異なる。例えば、予習が必須の授業、テストで必要な成績が取れれば問題ない授業など。すべての授業に全力で準備できれば問題ないが、実際問題、圧倒的に時間が足りない。

次の表は、ある一週間のスケジュールを具体的に書き起こしたものだ。■は講義名、【タイトル】は学業関連の作業である。

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正直、笑えるぐらい時間が足りない。前半の6ヶ月は睡眠を削って捻出しようと考えたが、身体は正直である。これを4年間続けるのは現実的ではないと悟り、残りの6ヶ月は睡眠を十分にとることを主軸に置いた。

大学の授業内容を吟味し、注力すべきかそうでないか、後ほど自学で取り戻せる内容かなどを踏まえて、力の入れ具合を調整した。結果として、体調は良好で必要と考える授業に注力でき、仕事も一定の成果に達することができた。

③できないことを受け止める

社会人学生として大学で学び直し始めると、前のめりになり、きちんと学ばなければならない、すべて自分のものにしなければいけない、などと意識する人が多いと思う。自分もそうだった。

しかし、すべてを学ぶことはできないと考えた方がいい。自明ではあるが、大学の教授の方々もすべてのことを知っているわけではないし、社会人学生の場合は時間的制約や仕事や家庭の都合で、思うように勉学に時間を割けないことも少なくない。

思うように事を成すことができていなくても、少しずつ進歩しているのだという意識を持って学ぶことが大切ではないかと思う。

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夜の大学の様子

最後に

社会人学生として大学に通うと多くのプライベートな時間を注ぐことになるが、得られることは多いと感じた。実りのある時間にできるかは自分次第であるが、大学に通っても通わなくても同じだけ時間は過ぎていく。

もし、学び直すということに少しでも興味があるならば、社会人学生として大学に入学するというのは選択肢の一つになるのではないだろうか。この記事があなたの背中を押す一助になれば、幸いである。