鎗ヶ崎クリエイティブ談話室とは

駒沢通りと旧山手通りが交わるのが、「鎗ヶ崎交差点」。その近くに、月に一度だけものづくりをするデザイナーやエンジニアの集まる談話室がひっそりと出現します。それが「鎗ヶ崎クリエイティブ談話室」。

「つくる」にまつわる様々な人と情報が交差して、みんなでクリエイションの種を見つけていく、参加型トークイベントです。

第3回目となる今回のテーマは「ブランド体験をつくる枠にとらわれないデザインの話」

ゲストには、食べるスープの専門店「Soup Stock Tokyo」をはじめ「giraffe」「PASS THE BATON」などを展開する、「株式会社スマイルズ」のクリエイティブディレクター 木本梨絵さんをお招きしました。

tsukuruba studiosからは、制作会社で様々なクライアントワークを経てツクルバにジョインしたグラフィックデザイナーである宍戸がメインスピーカーとして登壇。スタートアップ向けのコワーキングスペース『co-ba jinnan』をはじめ、複数のサービスに幅広く関わっています。

当日は満員御礼、フリーランス、大企業、ベンチャー、コピーライターなどさまざまな業種で働く約13名の方にご参加いただきました。

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今回の逸品は、Smilesさんからお持ちいただいた『瓶のビール』と『刷毛じょうゆ 海苔山登り』の海苔巻き。

瓶のビールはSoup Stock Tokyoのデザイナーさん、『刷毛じょうゆ 海苔山 山登り』はネクタイ「giraffe」の事業部長が、自らのやりたいという想いからつくられたんだそう。

瓶のビールに関しては、資格を取得するなど2年をかけて製造されたんだとか!

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まずは乾杯からスタート!

サービスの「らしさ」はどうつくる?

Smilesとツクルバの共通点は自社で事業を展開していること。インハウスのデザイナーである木本さんと宍戸は、デザイナーという役割からサービスや事業をどのようにつくっているのでしょうか。

木本:私たちの会社の場合、今回ご用意したビールやのり弁もなんですが、個人の熱い想いから始まることがほとんどです。最近だと、大阪にできた新業態カレー居酒屋『 YELLOW(イエロー)』のブランドの立ち上げを0から携わりました。

私が関わり始めた時点では、大阪でカレー居酒屋をやるということは決まっていましたが、より特徴的な性格を店に付けていく必要がありました。そこで、架空のふたり組の絵と物語を書くことから始めました。

架空の物語からブランドをつくるというのは、以前からやってみたかったことだったんです。自分のやりたいことリストを持っていて、そこから仕事につなげることもありますね。

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「株式会社スマイルズ」のクリエイティブディレクター 木本梨絵さん

ブランドを0から立ち上げた事例を紹介した木本さんに対して、宍戸はブランドがすでに決まろうとしている状態から携わった事例を紹介しました。

宍戸:『co-ba jinnan』は関わり始めた時点で、映画から名付けられた『ファイト・クラブ』というコンセプトが決まっていました。ただ、それだと映画に引っ張られてしまう、オリジナルのワードをつくることによって独自の価値やブランドが醸成されるのではないかと、コピーライターさんに入っていただき、最終的に『CO-FIGHTING SPACE』に決まりました。

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tsukuruba studiosのグラフィックデザイナーである宍戸

最初に自分がデザインを担当することになったのはパンフレットだけだったんですが、本当に何をすべきか考えたときに、ブランドを体現する空間の中のサイン計画なども大切なのではと、思うようになりました。

ある程度予算は決まっていたので、ビジネス側に『ミニマムの予算でやってもいい空間にならない、やった方がいいことなのでやりましょう』と伝えたり、予算を聞いてそもそもそこにお金を掛ける必要があるのかを確認したり、ビジネス的視点も加味しながら、調整するようにしましたね。

これからの「デザイナー」の役割はどうなる?

事業もブランドも個人の想いを起点にデザインを考えていく木本さんと、事業やビジネス側に並走していくタイプの宍戸。それぞれアプローチは違うものの、“最強のジェネラリスト” を目指しているという点では一致していました。

木本:これは個人的に考えていることですが、デザイナーってざっくり “クラフト系” と “コンサル系” に分けられるんじゃないかなと思っていて、私はこれからのインハウスデザイナーにはコンサル系の人も求められていくんじゃないかなと。

自分の場合、デザインにとどまらずインタビューやアンケートをかなりするんです。なので、たまにグラフィックなどひとつの手法を極めていない人よりもやりきれていないんじゃないかと、思うことがあったんです。

なんですが、最近リサーチを徹底的にやった企画がすんなり通ったことがあって、私はデザインを武器にした “最強のジェネラリスト” になりたいなと思うようになったんですよね。

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デザインは島で言うと目に見える陸の部分だと思われやすいですが、本当は海の底にある部分が大切だと思うんです。

海の底にある見えない部分を丁寧につくることでアウトプットがついてくるのではと、見えるところよりも見えないところに重きを置くようにしています。

宍戸:前職では主に紙のグラフィックデザインをやっていたので、それでいうと “クラフト系” だったと思います。

ただクライアントワークだと、自分がいいと思っているものが届いているかどうかわからないことも多く、自己満になっているんじゃないか、それよりも “自分がどういう人に届けたいか” からデザインする方が大切だと思うようになりました。

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それで、自分の可能性を広げ、できることを増やしたいとツクルバに転職しました。tsukuruba studiosのクリエイティブチームでは、色々な強みを持っている人が集うことで、できることが広がっていくことを大切にしています。

自分であれば紙のグラフィックデザインは最大限に活かし、苦手な部分は包み隠さずにまわりのメンバーに教えてもらう。個人のできることを広げ、結果的に自分の役割を増やすことを意識しています。

強みをつくりたいならやったことのないことにも挑戦してみる。『デザイナーだから』よりも『デザイナーである自分は何をどうすればいいか』を考えた方が楽しくなると思っています。

ペルソナの価値をどう捉える?

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新卒で入社した、ツクルバのふたり目のデザイナーである後藤。

後半、参加者の方からの質問にお答えするおたよりコーナーでは、ペルソナについての質問が。つくっても活かされない、どこまでつくり込むべきか、ブランドの価値として説得するのが難しい、などさまざまな意見が交わされていました。

後藤:今カウカモの広告やSNSのデザインを担当しているのですが、マーケティング・ライティング担当のメンバーでプロジェクトに必要なペルソナをつくりました。

ペルソナは手段であって、アウトプットをつくるために必要なペルソナがあればいいと思っています。なので、そのアウトプットをつくるために、どれくらいの粒度のものが必要なのか、どんな情報が必要かを洗い出してつくっていきました。

逆に細かく決めすぎると間違った方向に向かってしまう可能性もあるので、ある程度余白を残しながら進めるようにしていましたね。

木本:Smilesではペルソナよりも、“自分がどう思うか”(n=1)を大切にしています。『文喫』※であれば、プロジェクトメンバー4人それぞれが図書館やブックカフェに行った後、所感を書きました。4人が思っているのであれば他の人もそう思っているのではないかというように捉えて、ユーザーが感じるサービスの価値を大事にしています。

ペルソナは作り手の想像なので、リアルな人である自分がどう考えるかに重きを置いていますね。

※文喫:入場料のある本屋。人文科学や自然科学からデザイン・アートに至るまで約三万冊の書籍を販売している。

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最後はフリートーク。

次回のテーマは『スタートアップとデザイナーの、未来の話。』

次回は、渋谷の神南にある『co-ba jinnan』にて、「Design scramble 2019」の公式プログラムとして開催します。

ゲストには、目の前のアイテムが一瞬でキャッシュに変わるアプリ『CASH』や、思い立ったらすぐに旅行に行けるアプリ『TRAVEL Now』のUIデザインを担当した、株式会社バンクの河原香奈子さんをお招きします。

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