カウカモが提供するのは、オンラインとオフラインを超えたサービス体験

光井:カウカモは不動産メディアだと思われることが多いのですが、本当は「不動産サービス」なんです。両者の違いは、提供する体験のフェーズの長さですね。不動産メディアは物件を掲載するのみで、仲介業者は外部にいます。それに対してカウカモは物件を掲載しているメディアを運営しながら、仲介するエージェントが社内にいるんです。メディアの運営と仲介をワンストップで行うことで、一貫した体験と世界観を作ることができています。

また、カウカモが大切にするポイントも他社の不動産メディアと異なります。

光井:物件を探すときって、初めに自分の条件に合った物件を検討し、内見してから購入して……というのが基本の流れですよね。 カウカモでは「暮らしの妄想」が住まい探しの前に存在すると考えています。暮らしの妄想を始めたときから住まい探しの旅はスタートしているんです。

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私たちのようなサービスを作る側にとっては、反響や成約などのコンバージョンに直結するフェーズに目を向けることも大切です。しかしユーザーにとっては住まい探しの後に購入し、その物件に住むまでのすべてがサービス体験であり、私たちが大切にすべきことでもあると光井は話します。

サービスの右脳から左脳まで。多種多様なメンバーがつくりだす体験によって生み出される価値

サービスとブランドの体験をより確かなものにするために、カウカモではストーリーマッピングを実施しました。

光井:ストーリーマッピングというと、デザイナーとプロダクトに関わる人と一部の事業部メンバーなど、少人数で作ることが多いと思いますが、カウカモではブランドマネージャーや編集部、プロダクトマネージャーなど多様なメンバーが関わります。 特に、データ分析の側面も担っているストラテジストが同席するのは珍しいのではないでしょうか。また、コンテンツとしてだけでなく不動産広告の法律に関する知見を持つ編集部のメンバーも参加しています。メンバーの多様な視点からサービスの右脳から左脳までを俯瞰し、全員で共通認識を持つことを大切にしています。

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サービスを好きになってもらう体験をつくる、3つの「H」

カウカモではサービス体験を構成する要素として、3つの「H」を大切にしながらプロダクトの開発を行っています。

  1. HAND…ツール(機能、ユーザビリティ)
  2. HEAD…情報(正しさ、信頼)
  3. HEART…感情(楽しい、気持ちいい)

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しかし、感情面の価値は定量化が難しくあまり重要視されない、という話もよく耳にします。光井は「この感情や気持ちの揺らぎを生むのがサービスの体験を作る上で大切」と話します。今回は実際にカウカモで取り入れられているUXデザインの例をいくつかご紹介します。

日当たりがイマイチな物件をまとめた「ヴァンパイアの家探し」

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カウカモには、自分の検索条件からちょっと外れた物件に出会える「MIX」という機能があります。「ヴァンパイアの家探し」でまとめられているのは、北向きの物件や日当たりが悪い物件。タイトルの付け方やまとめる切り口を工夫することで、先入観なく自分のライフスタイルを見つめ直すきっかけを提供します。

花見の名所とその近くの物件をまとめた「桜CHILL」

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「桜CHILL」はお花見の名所と、その近くで売り出されている物件を紹介するMIXです。この機能から実際に物件を決めて購入する人はほとんどいないかもしれません。けれど、カウカモが大切にしたい「暮らしを楽しむ」という価値観を知るきっかけになればという想いで作られた機能です。

まるでキャッチコピーのようなシステムメッセージ

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先日、カウカモアプリでチャット機能がリリースされ、旧チャットアプリをクローズしました。アプリのダウンロードを促すメッセージも、UXライターによるちょっとした工夫が施されています。

このようなカウカモの遊び心を、光井や他のメンバーは次のように例えています。

光井:「IKEAでのショッピングに近いよね」ってメンバーと話してて。はじめにショールームで暮らしの疑似体験をして、妄想するフェーズから体験として楽しむ。カウカモも同じで、暮らしの妄想やアプリに触れる体験から楽しんでもらいたいんです。物件購入という時間をかける大きな買い物だからこそ、プロセスも楽しめるサービスで在りたいと思っています。

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サービスの芯となるこの価値観を支えているのは、ツクルバ全社に浸透している「Philosophy & Business」というクレド。「哲学と経済活動を両立させる」という意味です。その上でカウカモでは「JOYとWOWのあるライフスタイリングサービス」というメンバー全員で作ったビジョンを掲げ、意志を持って楽しさを提供することを宣言しています。

サービスに関わるすべての人が大切なユーザー。オフラインでの体験を支えるプロダクトづくり

光井:例えばファッションのECサービスであれば、注文ボタンをタップした瞬間に購入できてしまいますが、住まい探しは必ず物件の内見から購入までのオフラインでのコミュニケーションが発生します。そのオフラインでのユーザー体験も大事にしているからこそ、カウカモでは顧客関係管理ツール(CRM)を自社で開発しています。

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顧客情報の管理だけでなく、接客業務支援の機能をエージェントに提供しているカウカモのCRM。業務支援プロダクトを作るとき、デザイナーとして大切にしていることが3つあるとのこと。

1. 課題の発見と解決

本当に必要なツールが何なのか紐解くこと。具体的には仲介業務を担当するエージェントの業務フロー・課題を正しく理解・整頓し、サイトストラクチャを作成。 イベント時に紹介された顧客ニーズを視覚化し整理する機能は、エージェントの提案業務の品質向上に繋がりました。

2. 自動化できること・できないことの分類

エージェントのアサイン業務支援機能では、自動化できる要素の整理とともに、自動化できない事象にも配慮。業務ツールを単に最短距離をとるための道具とするのではなく、人の手の介在する余地のあるものにしています。

3. 業務ツールにもわくわくを乗せる

接客状況やアラートを楽しげにしたり、ツールに名前をつけて愛着を生むなど、エンドユーザー向けのアプリと同様に楽しくなる要素を入れる。

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『iggy』と名付けられた、エージェントがお客さんとやりとりするための専用チャットツール。ログイン画面をメンバーの写真にして、ロック画面を絵文字にするなど、ポップで親しみやすい演出が盛り込まれています。

光井: 社内向けのプロダクトを作るとき、業務効率や自動化などの機能の話になりやすいのですが、その前に大事なのは、その裏で起こっている人間模様やその人たちの想いを知り、ないがしろにしないことなのではないでしょうか。

これからのカウカモは、UXとCXのシームレスな体験を目指していく

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現状はオンラインとオフラインのサービス体験が密接とは言えないため、データを活用し提供する物件情報をパーソナライズするなど、テクノロジーと感情の価値のバランスを大事にしつつ、UXとCXがゆるやかに重なり合う状態を目指したいという光井。

最後は、これから作っていきたい体験を話しました。

光井:これからはユーザー体験からサービス体験へと移っていきたいんです。家を買うって今は一生に何度も経験する人は少なく、大変なこともたくさんあるけど、その体験をひとつでも多く楽しくしていきたいなと。カウカモで実際に住まいを購入したお客さんからは、たくさんのメッセージを頂いていてとてもうれしいです。けれど、サービスとしてはまだまだ成長できる余地がたくさんあるので、これからもJOYとWOWを大切にしながら、不動産購入の体験をもっと新しく楽しいものにしたいですね。


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